モエレ沼公園・2022年8月23日

モエレ沼公園

モエレ沼公園は札幌市北東部にあり、270万tの廃棄物を埋め立てた後に造成された約1.89k㎡の都市公園。1982年(昭和57年)に着工され、基本設計は日系アメリカ人のイサム・ノグチが手掛けたことでも知られている。1988年(昭和63年)末にノグチが死去した後は、彼の財団監修のもとノグチの遺志を継いで計画を続行し、実に23年の歳月を経て2005年(平成17年)7月に完成した。その雄大な姿は「大地の彫刻」と呼ばれ、訪れる時間や移り変わる季節によって、様々な表情を見せてくれる。

 

イサム・ノグチが手掛けたというので前々から行きたかった。でも市内からは案外時間がかかる。札幌グランドホテルからは地下鉄とバスを乗り継いで1時間弱で到着。当日は雨模様との天気予報だったが、実際は雨は降らず、家内とレンタルサイクルを使って公園内を観光した。広大な公園なので自転車でないときつい。涼しい日でとても気持ち良かった。

 

モエレ山

モエレ沼公園最大の造形物であるモエレ山。札幌市東区唯一の山であり、地域のランドマークにもなっている。不燃ゴミと建設残土を積み上げ造成された人工の山で、登り口は3方向5ルートある。階段は山肌を回遊するものと、一直線のものがあり、いずれも10分弱で登り切ることができる。麓からの高さは52m。 山頂部分は、札幌市内全体を見渡せる展望台となっている。その幅はイサム・ノグチの生誕100年にあたる完成年にちなんで2004cmとなっている。

 

海の噴水

公園の中央、円状に植栽されたカラマツ林に隠れるように設置されている直径48mの大きな噴水。ノグチは、大阪万博開催時(1970年)に噴水作品を手がけるなど、「水」を素材としたさまざまな造形活動を試みてきた。1988年当時は、マイアミのベイ・フロント・パークの噴水を手がけており、海の噴水はこれの姉妹版と言えるもの。40分のロングプログラムと15分のショートプログラムがあり、1日3~4回運転しているす。ダイナミックな水の動勢は「水の彫刻」と呼ぶにふさわしく、生命の誕生、そして宇宙を表現し、公園全体に生命の息吹を与えている。

我々は、運よく10時半のプログラムに間に合い、楽しめた。

 

テトラマウンド

直径2mのステンレスの円柱を三角に組み上げ、真下に芝生の円いマウンドを盛り上げた、シンプルでダイナミックなモニュメント。巨大な円柱の表面は特殊な磨き方をしており、光線を浴びると輝きが多彩に変化する。柔らかい芝の緑と金属の鋭い光が併置されることで、観るものに強い印象を与える。芝生で覆われたマウンドの上に上がり、空を仰ぎ見ることで、ノグチの目指した彫刻の世界を体感できる。

 

ミュージックシェル

コンサートや舞踊などのパフォーマンスの舞台。プレイマウンテンの正面に位置し、観客は石段に腰を掛けて舞台を楽しむことができる。白いシンボリックな形状は、職人が研磨して作り上げたもので、プレイマウンテンの麓の景観に焦点を与えている。 この半球形の建物は反響板を兼ねており、内部には出演者のための控室とトイレが組み込まれている。ステージ部は幅14.5mの半円で、床には庵治石が敷き詰められている。

ノグチが最後に遺したモエレ沼公園の模型にはない施設だがが、プレイグラウンドに音楽の場を組み込むことを言及していたノグチの言葉を受け、遺された遊具のスケッチ、模型をもとに造成された。

 

ガラスのピラミッド

ガラスのピラミッドは公園の文化活動の拠点となる施設で、公園を象徴するモニュメントでもある。屋外の環境を直接に反映し、夏には美しい芝生で切り取られた青空を、冬には一面の雪原の美しさを、公園の風景と一体になったかのような感覚を味わうことができる。ガラスで構成されたアトリウムは、「ピラミッド」と聞いたときに思い浮かべる四角錐状ではなく、一辺が51.2mの三角面と四角錐、立方体が組み合わされた複雑な形態となっている。形状は違えども、設計当時建設していたノグチの若き友人である建築家I.M.ペイによるルーブル美術館のガラスのピラミッド(パリ、1989)へのオマージュとも言える。

 

ピラミッドの内部。

 

イサム・ノグチ ギャラリー

 

オンファロス イサム・ノグチ

《オンファロス》は、イサム・ノグチモエレ沼公園の基本設計に携わることとなったきっかけを作った株式会社B.U.Gに寄贈した作品。1988年当時、新さっぽろのテクノパーク内に建設していたB.U.Gの社屋は、のちにモエレ沼公園の設計を行うこととなるアーキテクトファイブが担当しており、ノグチも数度建設途中の工事現場に訪れたそうである。新社屋にプレゼントされた作品は長年B.U.G社に置かれていたが、前社長服部裕之氏の厚意により、イサム・ノグチの109才の誕生日である2013年11月17日に、モエレ沼公園へと寄贈された。 タイトルの「オンファロス」はギリシア語で「へそ」、「中心」を意味する言葉で、古代ギリシアデルフォイに代表される、「世界の中心」を示すという石の遺物の名称でもある。新しい舞台であるガラスのピラミッドでは、その頂点の真下に作品を設置している。ノグチの作った新しい「世界の中心」たる《オンファロス》は、蹲い状の石彫作品。石の中心部からは水が湧き出ており、石肌を伝って地面へと流れ落ちていく。水を含んだ石はガラスから差し込む陽光を浴び、静謐な美しさを湛え、来館者をひっそりと出迎えてくれる。